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11月17日東京新聞社説です

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2011111702000071.html

沖縄の教科書 柔軟に選べる仕組みを

沖縄県の離島・八重山地方で来春から使う中学校の公民教科書選びが難航している。教科書の無償配布をめぐる法律の矛盾が原因だ。地域や学校の意思を直接くみ取れる仕組みに改めたい。

 小中学校の教科書をどう選ぶかは、教科書無償措置法で定められている。近隣の市町村にまたがる採択地区ごとに同じ教科書を決める広域採択がよくあるやり方だ。

 まず市町村でつくる採択地区協議会が吟味し、適切と考える教科書を答申する。市町村教委はそれに従うのが通例だ。

 石垣市、竹富町、与那国町の八重山採択地区協議会は八月、尖閣諸島などの領土問題の記述が手厚い育鵬社の教科書を答申した。

 だが米軍基地の問題に冷ややかだとの意見もあり、竹富町は議論が不十分として東京書籍を選んだ。県教委が一本化を目指し、三市町の全教育委員で協議したら東京書籍に軍配が上がり、今度は石垣市と与那国町が反発している。

 対立がこじれた背景には法律の矛盾がある。教科書無償措置法は採択地区内では同じ教科書にするよう求めている。一方、地方教育行政法は教科書を決める権限は市町村教委にあるとしている。

 広域採択の仕組みには意見の食い違いを収拾する手だてが用意されていないわけだ。矛盾を放置してきた文部科学省の責任は重い。

 そこで文科省が示した打開策が問題をさらにややこしくした。いつもの手続き通りに答申を受け入れた石垣市と与那国町には国費で教科書を買い与えるが、竹富町は町費で賄ってはどうかという。

 これでは義務教育の教科書の費用は国が出すとした無償支給制度が壊れかねない。答申にどこまで拘束力があるのかもはっきりせず、竹富町教委の採択権限のみが侵害されるとの懸念が出ている。

 広域採択は教科書の大量発注で経費を減らしたり、先生の共同研究をやりやすくしたりして教育の効率化を図る仕組みだ。地域や学校の意向がそのまますんなりとは反映されにくい。

 歴史的経緯から沖縄県では尖閣諸島などの領土・領海や自衛隊、米軍基地の問題には敏感だ。高校日本史の教科書検定で、戦時中の集団自決の記述をめぐり抗議する大規模集会もあった。

 異なる考えや価値観を封じ込めがちな広域採択の仕組みは見直すべきだ。地域の住民や親が広く参加し、自治体や学校ごとに教科書を選べるようにしたい。沖縄県にとどまらない全国共通の課題だ。
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