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12月24日八重山毎日新聞

http://www.y-mainichi.co.jp/news/19005/

混とんから抜け出す術は県教育長に

■県教育長よ水先案内人になれ
 28日の仕事納めまで平日3日しかない。このまま「八重山教科書問題」は収束することなく年を越すことになるのだろうか。あまりにも無責任ではないのか。市町民、保護者、生徒に対してどう申し開きをするつもりか。互いに譲らない。自己の意見のみに固執し、周辺を省みない。あまつさえ他を罵倒(ばとう)し続ける。利己主義を通り越してナルシシズムに陥っているのではないか。
 これでは舟を寄せ停泊させる岸壁はどこにもないだろう。水先案内人がほしい。それは、県教育長をおいて他にいない。

先に行われた4教育長会談は失敗に帰した。もくろみは外れ、後にも先にも行けない手詰まり状態だ。ここまで来たらそれぞれ自己主張を曲げるとは到底思えない。そのことは県教育長自身がよく知っているはずだ。そこで、論点を整理し、接岸場所はどこにするかをまず決めなければならない。
 そのためには、どこまでなら譲歩できるのか、その妥協点を探り提案することが必要だ。ときに民主主義は「妥協の産物」である。このことを私たちは、長い歴史と政治や生活の中で経験則として知っている。それは知恵となって今に息づいている。その知恵を活用すべきだ。それは「ぶれ」とは言わない。

■やむなく文科省見解に立ったとして
 竹富町教委に対して東京書籍教科書を採択する場合、有償とする。今月末までの冊数報告を求める―の文科省見解および通知にやむなく立った場合、その妥協点を探ってみた。
 ▽石垣市教委の場合、育鵬社教科書を望んでいるから、それを果たすことで満たされる。竹富町教委に育鵬社版の採択を求めない。
 ▽与那国町教委の場合、石垣市教委に同じ。
 ▽竹富町教委の場合、町教育委員会の方針どおり東京書籍教科書を採択する。石垣、与那国両教委に同調を求めない。24年度購入分有償の財政措置を県教委に求める。それがかなわない場合は町議会が責任を持つ。
 ▽県教委の場合、竹富町教委と合議をし、「通知」することで県教委としての責任を明確にする。文科省と25年度以降の無償措置および法の不備や省令・政令制定について直ちに協議に入る。
 こんなことが考えられるが、その程度のものはとうに考えていることだろう。問題はそれを実行するための決断ができるかどうかである。全国を揺るがすような大きな問題に発展した。激しい主義主張の衝突が続いている。訴訟にも発展した。
 途中、はしごを外されたという憤怒もあるだろう。県教育行政の自負もあるだろう。そんな中での決断だ。もはやこの混とんから抜け出す術(すべ)は県教育長しか持っていない。
 状況は「衝突」から「指導」という第二ステージに変わった。指導は「指示」と「導く」からなる合成語だ。これまで指示はあったが、導くはなかった。今がその時ではないか。

■3市町長はダンマリでいいのか
 教育行政に首長は関与しない―の、いわば教育不可侵権ともいうべきものを行使してダンマリを決め込んでいる。その姿勢は評価されるが隠れみのになっていやしないか。
 3市町長は意中の者を推薦し、教育委員選出議案として議会に上程。同意を得て選出された。その委員が教育長になったのである。そして今、それぞれの立場で苦境の中にある。
 意思決定に関与せよとは言わない。教育や学の独立を尊厳する中で、少なくても情報交換、展望等の話し合いを持っていいのではないか。展開次第によっては対応策も生まれよう。ことに今回の場合、教科書有償という財政的な問題にまで発展している。手をこまねいているわけにはいかない。意思疎通があっていい。なによりも、3市町民が安心する。そのことを知りたい。
 わが国の政治は転換期に来ていると言っていいだろう。大阪や名古屋市長選に見られるように既成政党に全く信を置いていない。地域主権改革が進んでいる。「下克上」状態だ。一方で、地方分権は叫べど遅々として進まない。今回の八重山教科書問題は、全国に向け地域主権改革や地方分権の必要性を強いインパクトで発信した。3市町長はここにも目を向けるべきだ。
 市民運動がいよいよ先鋭化する中で市町民は収めきられない状況にいら立っている。それは怒りに近い。3市町長には何か出番があるはずだ。
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