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八重山教科書問題「住民の会」声明「 八重山教科書問題に対する見解・対応に抗議し、その是正を求める」

文部科学大臣
 平野 博文 様             
                           2012年3月28日

子どもと教科書を考える八重山地区住民の会
  共同代表 仲山忠亨 村田栄正 内原英忠 波平長吉 江川三津恵
             登野原 武 大仲康文 黒島精耕 島袋憲一 慶田城 久

  八重山教科書問題に対する見解・対応に抗議し、その是正を求める
 
 新学年を数日後に控え、中学校公民教科書について、石垣市、与那国町には育鵬社版が無償で竹富町は東京書籍版が有償で給付されようとしている。教科書無償給付が始まって以来、全国で例のない異常な事態となっている。教科書採択制度、無償措置法に反する対応に強く抗議し、その是正を求めます。
【文科省の見解、対応】
 文科省は、県教育委員会との協議(平成23年10月31日)において、その見解を示し(別紙資料平成23年度第17回県教育委員会会議教育長報告、同年11月16日開催)、平成23年11月8日閣議決定(衆議院議員照屋寛徳議員提出の質問主意書に対する答弁書)において、9月8日の全員協議が3市町教育委員会の組織としての合意がない、8月23日の八重山採択地区協議会の答申及び8月31日の同採択地区協議会の再協議の結果が「協議の結果」であるとし、「石垣市及び与那国町の各教育委員会は、この結果に基づいて教科用図書を採択しており、無償措置法第13条第4項の規定による採択を行ったと同視できることから、無償措置法により国がその採択に係る教科用図書を無償で給付することができると考えるが、竹富町教育委員会は、この結果と異なる教科用図書を採択しており、同項の規定による採択を行ったとは認められず、無償措置法第3条の要件を満たさないことから、無償措置法により国がその採択に係る教科用図書を無償で給付することはできないと考える」「無償に関する法律第1条1項の趣旨は、児童生徒及びその保護者に教科用図書の費用を負担させないと解される。竹富町教育委員会があくまで同協議会の規約に従ってまとめられた結果と異なる教科用図書を採択するというのであれば、当該教科用図書について、無償措置法により国が無償で給付することはできない以上、児童生徒に教科用図書が行き渡らないという事態を避け、かつ、無償に関する法律第1条第1項の趣旨を全うするためには、竹富町において教科用図書を購入し、これを児童生徒に無償で給付するほかない。その設置する小学校及び中学校における教育について一義的な責任を負う市町村において、国による無償措置によらず、自ら教科用図書を購入し、これを児童生徒に無償で給与することは、無償に関する法律の趣旨に反しているとはいえず、無償措置法によっても禁止されるものではないと考える。」との見解を示した。
その後の竹富町教育委員会からの2度にわたる質問に対しても、この見解に沿っての回答になっている。
1.採択地区協議会の答申に従うことを押し付けるのは採択権の侵害
八重山採択地区協議会はその規約第3条に目的として「協議会は、採択地区教育委員会の諮問に応じ、採択地区内の小中学校が使用する教科用図書について調査研究し、教科種目ごとに一点にまとめ、採択地区教育委員会に対して答申する。」と定め、第9条に答申作成と教科用図書採択決定の手続きとして「4 採択地区教育委員会は、協議会の答申に基づき、採択すべき教科用図書を決定する。5 採択地区教育委員会の決定が協議会の答申内容と異なる場合は、沖縄県教育委員会の指導・助言を受け、役員会で再協議することができる。」としている。この規約に基づいて、8月23日教科用図書が選定、各教育委員会に答申されたものである。その答申を受け、規約9条4項及び地教行法第23条6項に基づき、各教育委員会において採択されたが、その結果が公民について3市町教育委員会で異なる結果となった。そこで規約第9条5項に基づき、8月31日開催の役員会において、竹富町教育委員会に対し、答申通りの採択を要請し、竹富町教育委員会は9月2日、再度育鵬社を不採択とし、採択地区協議会に対し再協議を求めた。にもかかわらず、協議会会長は8月31日で協議会の業務は終了したと竹富町教育委員会からの要請を拒否したのである。
 すなわち、協議会の規約に従ってまとめられた結果というのは、あくまで答申であり、役員会における再協議も、竹富町に対し答申通りの採択を要請したものであり、それを超えるものではない。また、9月2日の竹富町教育委員会において、やはり異なる採択となった。この時点で、規約に従ってまとめられた結果は、無償措置法第13条第4項の規定による協議ではあるが、採択地区協議会の規約に照らしても、答申及び役員会の再協議のいずれもが、拘束力のない答申である。それを8月23日の答申と8月31日の役員会の再協議の結果が無償措置法第13条第4項の規定に基づく協議の結果とするなら、それは拘束力のない答申に従うように各教育委員会に求めるもので地教行法による採択権を侵害するものであり、従来の文科省の見解にも反するものである。
2.採択地区協議会の答申に従ったか否かで教科書の無償給付判断の矛盾
文科省は、八重山採択地区協議会の規約に従ってまとめられた結果、すなわち答申に基づいて採択したか否かを基準に有償、無償の判断をしている。1、で述べたように、答申及び役員会の再協議の結果は、採択地区内で同一の教科用図書を採択する途中の段階にあるものである。答申が拘束力を持たないことは、10月26日衆議院文部科学委員会における宮本委員の「答申は、市町村教育委員会の採択を拘束いたしますか」との質問に、山中政府参考人は、「これは拘束するということではなくて、…採択地区協議会の出した答申とは別の教科書というものを市町村教育委員会が協議して採択するということはあり得るといいうことでございます。」と答弁している。また、今年度においては、神奈川県藤沢市、横浜市、広島県尾道市、大阪府東大阪市、愛媛県今治市では、選定委員会・審議会の答申・報告と異なる採択を行い、その需要冊数報告は認めている。過去には、複数の教育委員会からなる採択地区である栃木県下都賀採択地区(2001年)では、歴史、公民を以外は調査委員会の報告通りの選定し、歴史、公民は協議会委員の投票を提案、多数決で可決。歴史に別の教科書が多数決で選定、答申された。各教育委員会は、次々に答申を不採択としたため採択協議会で再協議され、調査委員会の報告通りの教科書を採択。愛媛県今治採択地区(2009年)で、2市町教育委員会は、それぞれ、歴史、公民以外は答申通り採択し、歴史、公民は答申と異なるもの(2市町同じ)を採択。過去の事例、今年度の事例からも、答申に従ったか否かが無償給付の判断基準ではなく、採択地区で同一であるか否かが判断基準となっている。八重山採択地区における文科省の対応は、これまでの文科省の対応と異なるものであり、到底容認できるものではない。
3.9月8日全員協議が無効というなら新たな協議が必要
9月2日の時点で、3市町教育委員会が異なる採択になっているのであるから、3市町教育委員会が協議して一本化することが、法の求める対応である。だからこそ、3市町教育委員長が県教育委員会に指導助言を求め、県教育委員会は文科省と相談し9月8日の八重山教育委員協会臨時総会、全教育委員による新たな協議(以下9.8協議という)となったのである。ところが、文科省は、9.8協議について具体的検証もなく、2市町教育長の「無効文書」を根拠に、無効と判断した。この9.8協議を無効とするならば、採択地区内で同一の教科書になっていないのであるから、新たな協議で一本化しなければならず、その責任を放棄した石垣市、与那国町教育委員会こそ非難されるべきであり、それを容認した文科省の責任は重大である。県教育委員会は、9.8協議が有効であるとしながらも、3市町教育委員会の採択権を尊重し、一本化への道筋を提案してきたのである。一義的には県教育委員会の指導助言を言いながら、その努力を無にしているのが文科省の対応である。 
4.竹富町教育員会への対応は無償給付を否定するもの
  文科省は、以上3点についてこれまでと異なる見解、対応の上に、さらに竹富町教育委員会に対して、児童生徒に無償給付がされれば、その方法は問わないと教科書の無償給付制度における国の責任を放棄し、義務教育の無償を謳う憲法にも反する対応であり、強く抗議し、その撤回を求めるものである。

以上4点について、抗議し、文科省の見解・対応について次の是正を求めるものである。
① 同一採択地区内で、2つの教科用図書が採択され、片方のみ国による無償給付が受けられず有償という異常な事態の解決をはかるため、調査委員の研究・報告を尊重し、教職員、校長会、PTA、地域住民の要請にこたえた地区内同一教科用図書を無償給付できるようにすること。
② 上記同一教科用図書が決定するまで、竹富町教育委員会の採択教科書についても無償給付すること。
 

※添付参考資料  「八重山地区中学校社会科公民教科書選定・採択についての問題点」
               作成 子どもと教科書を考える八重山地区住民の会
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