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沖縄タイムス社説

http://article.okinawatimes.co.jp/article/2013-09-27_54557

社説[市教育長不信任]平和教育の原点見直せ
石垣市議会は9月定例会で市教育委員会の玉津博克教育長の不信任決議案を賛成多数で可決した。
 決議の要因となったのは今月19日の市議会一般質問での玉津教育長の発言だ。県内で取り組まれている平和教育について「悲惨さを強調し、戦争の嫌悪感で思考停止している」などと述べたことが波紋を投じた。
 一般質問でのやりとりはこうだ。「偏った平和教育がされている」との市議の指摘に対し、玉津教育長は「平和の尊さを教えるとしながらも戦争の悲惨さを強調している」と主張。さらに「現実社会では平和がいいと言っても戦争は忍び寄ってくる」とした上で「どう平和を維持し、戦争を防げるか。情報収集力や思考力、判断力、行動力を身につける実践的な平和学習に改善したい」と述べた。
 戦争の悲惨さや平和の尊さを繰り返し唱えることが「思考停止」だとでも言うのだろうか。そうであれば、身を刻むようにつらい体験を次世代に伝えてきた語り部の人たちのこれまでの献身を踏みにじるのも同然である。
 不信任可決後、玉津教育長は「平和教育は私自身も深くかかわった。悲惨さを強調するものから、工夫改善は絶対必要」と話した。
 戦争体験者の高齢化が進む中、沖縄戦の実相を今後どう継承していくかは一層困難な課題となる。平和教育を担う当事者意識があるのであれば「どう平和を維持し、戦争を防げるのか」について現状批判にとどまらず、具体的な改善案を提示してもらいたい。

 今回に限らず、玉津教育長の独断的な姿勢には疑問符を付けざるを得ない。
 決議文も「玉津教育長の問題発言は今にはじまったことではない」と指摘している。玉津教育長が「思考停止」発言以外にも、琉球大学との教育活動支援・協力事業で特定の准教授を事業から除外するよう求めた問題を挙げ「公正中立を堅持しなければならない立場を大きく逸脱するものでその資質が問われている」と批判している。
 同問題で市教委は6月に会見を開き、玉津教育長は「説明が不十分で議会や市民に迷惑をかけた。おわびしたい」と謝罪した。会見では、他の4人の教育委員に事前報告せず、玉津教育長の判断で琉大側に要請したことも明らかになった。高木健教育委員長は「対外的な要請を発出するときは、教育委員に事前説明するよう玉津教育長に強く申し上げた」と述べた。
 戦争は常に相手国の理不尽な行為によって危機が高まったと認識されるときに起こるものだ。国際環境がきな臭さを増し、戦争を肯定しかねない声が国内で高まりをみせつつある今こそ、戦争の歯止めとなる平和教育の積み重ねの真価が問われる。
 真に勇気ある発言とは世情に流されず、非戦の意志を貫くことである。それが平和教育の原点ではないか。
 不信任決議は法的拘束力がないとはいえ、玉津教育長には住民の代表である議会の不信任可決の重さをかみしめてもらいたい。
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